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旅のコラム

田中駅長の「旅の考現学」
文:田中 嘉文


連載第5回「航空券の選び方」



先回予告しましたように、しばらくは「航空券」についてお話しようと思います。

皆さんは海外旅行に出かける際に航空券にどれくらい神経を使っていますか? やはり値段が最優先ですか? そういう方たちから見れば私の考えは偏見に等しいと思われるかも知れませんが、私はもっと慎重に航空券を選ぶべきだと考えています。特にシニア世代に属する方々には。

理由を説明します。例えばニューヨークに10日間出かけたとしましょう。成田空港を出発便が離陸してから数日後に帰国便が着陸するまでを総旅行時間とすると、飛行機の中で過ごす時間はどれくらいになるでしょうか?

ニューヨーク行き直行便は大体お昼頃に出て、ニューヨークからの直行便が成田に着くのは夕刻です。計算すると総旅行時間はおよそ245時間になります。このうち飛行時間は往復で約26時間です。ほぼ10%に相当しますね。当然ながら、日数が少なければ割合は増します。同じように計算してみると、どの方面をとりあげてもほぼ10〜15%前後になります。

この割合を大・小どちらと考えるかは意見が分かれると思いますが、私は無視できないと思います。

出発便では、旅が始まった喜びや訪れる街への期待で気分は興奮状態です。飲物が配られ食事が終わってもすぐに眠れるわけではありません。映画が上映され、免税品が売られ、トイレに最低2回は行き、到着前には再び飲物と軽食が出てきます。

機内にいる時間は決して休息の時ではなく、一日の全行動を数時間に凝縮しているに等しいわけです。旅の疲れが溜まった帰国便ではひたすら休養に努める必要がありますが、機内の様子は往路と変わりはありません。こうしてみると行き帰りの長時間フライトをいかに快適に過ごせるかは、旅全体の評価に物凄く大きなウエートを占めていると思いませんか。

では機内で快適に過ごす条件って何でしょう。

座席の位置や環境が一番大きいと思いますが、格安航空券では座席を前もって指定出来ません。3席並びや5席並びの真ん中に当たったら、その場で旅をキャンセルしたくなりませんか。(実は、私は185cmの長身なので人一倍...)

窓側に座れると運がいいように思いますが、エンジンの騒音が間近かに聞こえますし、天井から側壁を伝って降りてくる冷気が意外と気になります。搭乗口に近い最前列は前が広くて足を伸ばせますが、スチュワーデスが立ったり座ったり、トイレが近くにあると常に人の動きが気になります。そしてこの最前列の窓側の席は、ドアの隙間から凍みこむ外気で風邪を引きそうになるほど寒いのです。数千円程度の差ならば、座席指定の可能な航空券を選ぶほうが賢明と思いませんか?

座席は何とか我慢するとして、眠れない気休めに音楽を聴こうにも年配の日本人にはまるで馴染みのないジャンルばかり。映画は日本語の吹き替えがなくてチンプンカンプン。
ビールは生温く、ワインは一人一本と制限されたり。こんなサービスでは空の度の楽しみなんか何もありません。ただひたすらに一刻も早く着陸することを願うばかりになります。

航空券を選ぶ際には航空会社も選びたいものです。どんな映画が上映されるのか、オーディオ・チャンネルでは何が聞けるのかなどのエンターテイメント・プログラムは事前に航空会社に確かめておくのも無駄ではないと思います。

次回は、航空券と航空会社の選び方に触れてみる予定です。







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