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文:吉田公平
第十一回
「習慣と発見」
自分では自覚しないままに、いっのまにか身に付いてしまった立ち居振る舞いやものの考え方を総称して、習慣という。個人的には「あの人の癖」とかいう。社会的には「習俗」
ということもある。ある文化共同体の同一性を保証するものの一つである。その共同体の成員がその社会の習慣から完全に離脱することは不可能である。
それでも、「この習慣はおかしい」と思うことがある。
そのように思わせた原因は何だろう。
一つはその習慣がその人に不快感をいだかせたこと。もう一つは、その習慣をおかしいと相対化させる、異質な原理を知ったこと。習慣はその社会を持続させるための原動力であるから、保守自勺な性格を持っ。だからこそ人は安心して無意識化されるほどに深く浸透している習慣に依存する。
日々の生活の中で慣れきっていたことを、ある時、あれおかしいぞと怪訝に思う。本当はそうではなくして、こうなのではないかと気がついて、よく考えてみると、やはりその方が本当だ、と確認する。これを発見という。
今まで習慣に覆われていて、本当のことが隠されてあった。その習慣という覆いを発(ひら)いたところ、真実の姿が我々の前に見(あらわれ)たのである。
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